2010.03.05UP
さて、お立ち会い。
思えば、なんだか涙もろくなっている。もともと涙腺のゆるい傾向はあったんだけど。たまにCATVの映画チャンネルをつけると、以前観た映画をやっていて、話がだいぶ進んでいる。筋を知っているから、途中でもいいや、と観るともなしに観るんだけど、たちまち話にはいりこみ、気がつけば、涙ツツツ。泣いている。
この前は『ドライビングMissデイジー』の最後をやっていて、モーガン・フリーマンの老運転手ホークが老人ホームにはいったデイジーに感謝祭のパイを食べさせてあげるシーンで涙がツツツ。『トーク・トゥ・ハー』では、マルコが受け取ったベニグノの手紙のところで、ツツツ。久松静児の『警察日記』で母親に捨てられた二木てるみが森繁久彌の警官に手を引かれ、橋のところで何度も振り返るシーンでべべべと大量。
二木てるみといえば、スペインに住んでいたとき、黒澤明の『赤ひげ』をやっていて、暖炉の前でカミさんとふたり、やたらとべーベー涙を流したのを思い出した。
長く人間やってると、人の心の微妙な動きや、人と人との間に行き交う情が手に取るようにわかってくるから、ツツツだったり、人が廻りにいないと、ドドドだったりする。まあ、そんなとき思うのは、オイラも大人になったなぁ、ということと、部分的にちらっと観ただけで泣けるわけだから、器用なもんだ、ということだ。
その日も読書に飽いて、ちょっとTVでもと思ったら、玄関のチャイム。宅配便の配達だった。荷物を開けたら、私の好きな桜色系ピンクのPapasのベストが出てきた。送り主は見た目兄貴な塚野浩資さん。淡いピンクのため、白に見えちゃうといけないので、本を置いて撮影。

手紙がついていたので、何か曰く因縁が書かれているかと思ったら「桃」という字が大書された下に「立石敏雄大兄「石川九楊一日一書倣「至極便利「平成22年3月3日「塚野丞次拝」とある。これじゃなんのことかわからない。

塚野兄に電話したところ「着きましたか。曰く因縁ねぇ、あの手紙じゃわからないよね。いや、桃の節句ですよ。あのベスト見た途端、おお、これは立石ピンクだと思いましてね」白に近いピンクを見て、私の好きな色だと思い出してくださったとは、うれしい限り。塚野さんはPapasの相談役みたいなことをやっている。ありがたく頂戴させていただきます。このピンクは、私が理想とする淡さを持っていて、ほんと桜の花と同じで、明るいところでは白かと思い、でもピンクだよなぁ、という淡さなのだ。極端にうれしい。
兄にモノもらって、そのままというわけにもいかない。どうしよう。石でも彫るかな、と考えているうちに、睡魔襲来。そういえば、お昼寝の時間はとっくに過ぎている。でも、寝ちゃいられないのだ。夕方から約束があった。フカヒレの試食に行かなくちゃならない。
ゴルフ仲間の井上恵司さんに、気仙沼で最近、フカヒレの良いのを仕入れてきたから、代官山〈海苑〉まで、その試食に来てくれ、と言われていた。
眠いのは眠い。半分眠りながら着替えて、バスも電車も、よだれ垂らしそうになりながら、居眠りし通しで代官山へ。
試食メンバーは、兄貴な石川次郎さん、弟な永井俊行君と私の3人。みんな井上さんと同じゴルフクラブのメンバーだ。フカヒレの試食にしては、関係のない、いろんなものが出てきた。前菜とか小籠包とか揚げエビとか炊き込みご飯とか。フカヒレなくても腹一杯という陣容。



目的のフカヒレだけど、今回200Kg仕入れてきたのは、毛鹿鮫のヒレばかりとか。姿煮にはヨシキリ鮫のヒレがよく使われるけど、本場、中国では毛鹿鮫が珍重される。それは繊維が太くて、スープのうまみが滲みやすく、食べ応えがあるからだ。これが、うまかった。

100gほど姿煮にしたのを食べた。ふつうどこでも8000円くらいの値段がつくものらしい。この日〈海苑〉では6300円で出していた。

もうひとつのフカヒレ料理は、鶏にフカヒレを詰めて、スープで煮込んだもの。

コラーゲンの膜が張っている。なんでもマカオの料理とかで、フカヒレを鶏系のたっぷりのスープで食べる。軽みのなかにコクがあって、これもうまかったな。

残りの鶏肉もじっくり煮込まれているため、ほとんど出汁ガラみたいなものだけど、柔らかくて、味わい深いものがあった。
お腹はパンパン、紹興酒をかなり飲んだので睡魔が200人掛かりで攻めてくる。電車、危うく乗り過ごすところだった。家帰って、速攻で横になり、瞬間轟沈。

