
時計における2大国際見本市、バーゼルワールドとS.I.H.H.(通称ジュネーブサロン)は、毎年春先にスイスのバーゼルとジュネーブで相次いで開催されてきた。ところが、来年だけはなぜかS.I.H.H.が1月に繰り上がり、例年より3か月ほど早いという異例のスケジュールとなっている。
それに先駆けて、モンブランでは10月初旬に「プレS.I.H.H.」として各種の新作を発表した。
2009年の新作モデルは4つ。なかでも注目すべきは、ミネルバのムーブメントを搭載した複雑時計だろう。ミネルバはクロノグラフを得意とする名門であり、モンブランと同様にリシュモングループの傘下に入っている。モンブランとミネルバの共同開発は07年からスタートしており、今回発表されたのは「コレクション ヴィルレ 1858 グランド クロノグラフ レギュレーター」と、「コレクション ヴィルレ 1858 グランド トゥールビヨン」だ。
このうちレギュレーターとは、昔、職人が製作した時計の精度を確認するために使った基準となる標準時計のことで、分針や時針がスモールセコンドの表示を長く妨げないように、時・分・秒の表示をそれぞれ独立させていることが特徴。それだけでなく、プラスアルファの機構――クロノグラフとデュアルタイムまで搭載しており、ハイレベルな複雑時計となっている。
なお、「1858」とはミネルバの創業年であり、このレギュレーターの製作本数もそれにちなんで、プラチナケースが1本、ホワイトゴールドケース(1277万8500円)が8本、レッドゴールドケース(1186万5000円)が58本というリミテッドエディションになっている。
もう一つの「グランド トゥールビヨン」は、機械式時計では最も難しい機構とされるトゥールビヨンをダイアル上半分に配置。ダイアルの下部に時分表示を置いているが、これが針だけで、まるで"浮いている"ように見えるのがポイント。といっても、こうしたトリックもスイス時計の伝統的な技法であり、実は針だけを透明なディスクに配置し、そのディスクを回転させているのである。ケース素材はホワイトゴールドで、価格は3349万5000円。世界限定8本。
このほか、ラージサイズケースで人気の「タイムウォーカー」コレクションには、新開発の自社製ムーブメント「MB LL 700」を搭載した「タイムウォーカー クロノグラフ フライバック オートマティック」が追加された。レッドゴールドケースで274万500円と、「タイムウォーカー」コレクションのなかでは上位機種に位置付けられそうだ。
一方、レディスには、「スター プリュイ デトワール レディ オートマティック ダイヤモンド」が登場。ベゼルやダイアルに合計2カラット強のダイヤモンドをあしらい、ゴージャスでエレガントなジュエリーウォッチに仕上がった。
これまで、ステンレススティールのケースで価格は100万円未満という、コストパフォーマンスに優れたモデルを中心としてきたブランドだが、「プレS.I.H.H.」ではその上位にあたる高級・高額モデルがラインナップされた。既存コレクションの定着と成熟を背景として、従来にはなかった富裕層をターゲットとした新作を投入したと見られる。
取材・文/遠藤和呼
1│「コレクション ヴィルレ 1858 グランド クロノグラフ レギュレーター」。ヴィルレとはミネルバの工房がある土地の名前。写真のレッドゴールドケースは白文字板、ホワイトゴールドケースには黒文字板を組み合わせている。手巻き。入荷は2009年秋。2│「コレクション ヴィルレ 1858 グランド トゥールビヨン」。立体的なダイアルデザインにも注目。手巻き。入荷時期未定。3│「タイムウォーカー クロノグラフ フライバック オートマティック」。秒針が2本あるように見えるが、1本はクロノグラフ用の秒針で、もう1本は分の積算計。通常の秒針は6時位置のスモールセコンド。12時位置のインダイアルでデュアルタイムを表示する。自動巻き。入荷は09年秋。4│「スター プリュイ デトワール レディ オートマティック ダイヤモンド」。ホワイトゴールドケースで、638万4000円。自動巻き。入荷は09年秋。問い合わせ先/モンブラン ジャパンTel:03-3288-3800